どの子にもわかりやすい環境整備
学校生活をスムーズに安心して過ごせるための教育環境を整備します。
〇美瑛町立美瑛東小学校の取組
① ② ③① カレンダー:「きのう」「きょう」 ② 心の温度計:自分の気持ちとその ③ 教室の掲示:教室前面は視覚刺激
「あした」の関係を視覚的にとらえ 様子を視覚的にとらえられるよう を極力少なくして、児童が授業に
られるようにしています。 にしています。 集中できるようにしています。
④ ⑤ ⑥④ こえのものさし:その場に合った声 ⑤ 目標・活動の焦点化:学習の計画 ⑥ タイムタイマー:時間の量や経過を
の大きさを視覚的にとらえられるよ や今日の活動がわかるような掲示 視覚的にとらえられるようにしてい
うにしています。 をしています。 ます。
ICT活用の実践例
美瑛東小学校では、児童の集中力を高め学習の理解を深める、児童を効果的に支援するという視点から、ICT機器の活用に取り組んでいます。校内研究ともタイアップし、授業におけるICT活用の成果や今後の課題についても研究協議で話し合っています。
主に今年度1学期の取組について以下にまとめました。
全教科 | ・教科書を拡大して見せる。 ・プリントを拡大して写し、そこに答えを書き込む。 |
国 語 | ・話し方・聞き方の手本で動画を流す。(写真の様子) ・国語辞典の引き方を動画で示す。 |
算 数 | ・「表やグラフ」、「ものさし」、「時計」等を拡大して見せる。 |
理 科 | ・動画を使い,「チョウ」「植物」の成長の流れを確認する。 |
音 楽 | ・新しい曲の際、歌詞を写しだし,注目させて歌わせる。 |
体 育 | ・表現運動やラジオ体操の際に,手本を写し出す。 |
書 写 | ・運筆動画を使い、筆順、書く速さを確認する。 |
○手本を視覚的・聴覚的にとらえさせることによって、取り組みやすさが 増える様子が見られた。
○児童のノートや作品を見やすく写すことにより、「発表する」「聞く」意 欲の高まりが見られた。
◆目先から離れた映像を見るより、対象物が手元にある方が理解できる児 童もいる。児童の実態等を考慮しながら精査して行う
ことにより、より 良い効果が得られると考える。
2年生 算数「長さ」
・目盛りが細かすぎて、説明だけでは指導しにくい。
・「聞く」より「見る」方が理解しやすい。
話し方の手本動画 毛筆の運筆動画
教科書の拡大映像 プリントの提示、書き込み
デイジー教科書の活用例(読みに困難を感じている児童への支援)
(1)児童の状況
特別支援学級に在籍し、読みに困難を生じている児童である。ひらがなに関心をもちはじめていたが、他の児童と同じように教科
書や配られたプリント教材、テストの文章が読めないために、教科書を周りから見えないように隠すなど、自尊感情が低くなって
しまっていた。このような児童に印刷物である教科書ではない方法でアプローチしていくことが重要であると考えた。
(2)指導する機材(支援機器)の名称と特徴
使用機器:iPad 「Voice of Daisy」
特長 教科書のハイライトされた部分を読み上げる。 ※1
背景色を変えることができる。 ※2
速度や大きさを調節できる。 ※3
教科書の挿絵や図も表示されていることから、通常の教科書と同じように使用できる。 ※4
使用した機器を選定した理由
デイジーは、日本障害者リハビリテーション協会で提供を行っているデジタル教科書である。小中学校の教科書に対応して作って
あること、フォントを大きくする、色を変えることができる、背景色を変えることができる、読む速さや音量を変えることができ
るなど、授業に合わせて視覚的にも聴覚的にも支援できる利点がある。また、登録すれば簡単にダウンロードできること、自宅や
学校のPCを利用することができることなど利便性が高いため選定した。
(3)個別の指導計画と個別の教育支援計画
個別の指導計画は、年間指導計画の手立ての欄にデイジー教科書の使用を記載する。また学習の状況について記載する。個別の教
育支援計画は、学校での手立てに関連する項目に記入し、保護者と連携してすすめる。
(4)指導の内容
・町内小中学校研修会や調査においてデイジー教科書について案内される。
・自校では、昨年度の校内研修で活用方法について研修。
・デイジー教科書は、特別支援学級で、主に国語と算数で利用した。自宅にiPadがある家庭では、国語の音読で使用した。
(5)支援機器の使用効果あるいは、指導の効果と支援機器の評価
デイジー教科書の良さは、読む部分を抽出して提示すること、フォントの大きさをアレンジすることができること、背景色、ハイ
ライトの色を変えることができること、漢字にルビがついてものを提供される教科書もあり、視覚的な支援ができることである。
また、音声でガイドしてくれること、音声のスピードを調整することができることにより聴覚的な支援も受けることができること
である。それにより、読みを促進することができ、理解力が向上した。
さらに誰かに読み上げてもらうのではなく、自分で速さや大きさを調節して読むことで、もう一度読み返したい場所に簡単に戻る
ことができる。また、他人を気にしないで自由に操作できる。
これらのことから自分でできるという自己肯定感の向上にもつながった。
(6)まとめと今後の課題
読みに困難を抱えている児童にとってデイジー教科書を使用することは、読みの速度を促進させることに有効であった。また、文
字の読み間違いが減ること、語頭や語尾の読み間違いが減ることがわかった。特に予習で使用することの有効性が示された。
今後は、特別支援学級の中でデイジーを使用する方法について事例を積み重ねていき、より有効な活用法を検討する必要がある。
・校務分掌に特別支援教務係(2名体制)を位置づけ、支援の学級及び通常の学級の学習連携・調整や保護者との面談等を行っています。
・幼児機関・中学校との情報交流を積極的に行い、「連続した学び」を意識した学習指導等を計画し、進級時の引継ぎがスムーズに行えるようにしています。
・子どもの行動をよく見取り、積極的にすべての子どもに支援を行う授業を実践しています。
・ICT機器を活用した授業実践を重点的に取り組んでいます。
・子どもの実態を踏まえ、すべての子どもへの支援について弾力的な体制をとっています。
・支援の学級を利用する保護者への進路相談会を開催しています。また、全体学習会や個別の面談でその子の特性に合った学び方や進路について話し合っています。
・校内研修の研究体制は、低・高・支援ブロックで組み、年間を通して1人1授業を中心として取り組み、平成29年度より付箋を使ったKJ法(データをまとめるための手法)による研究協議の取組を行っています。
・必要に応じ、関係機関と連携し保護者支援・児童支援を行っています。
〈主な関係機関〉
教育委員会(地域支援コーディネーター)、医療機関、保健福祉課(放課後等デイサービス、子ども支援センター等)